(神戸新聞)
待ちに待ったパンダの赤ちゃんが二十六日、神戸市立王子動物園に誕生した。人工授精によるパンダの出産は、国内では上野動物園に次いで二十年ぶりという快挙。だが、その道のりは平たんではなかった。パンダ誘致に奔走し、繁殖技術向上への努力を積み重ねた関係者は「無事に生まれてほっと胸をなで下ろしている」と思いを語った。
王子動物園飼育展示係主査の獣医師、浜夏樹さん(45)らは当初、自然交配を試みたが、雄の興興(コウコウ)(二代目)と雌の旦旦(タンタン)との相性が悪く、二〇〇三年から人工授精を取り入れた。排卵日に合わせ精子を体内に入れるが、ジャイアントパンダの雌の排卵日は年一回(二-六月)で、正確に分からなかった。
同動物園は〇五年、岡山大学の奥田潔教授らと共同で、発情ホルモンを尿で測定する方法を完成。発情ホルモンが最高値に達した翌日、排卵が起きているとみられることも分かり、一気に妊娠率が高まった。
雄から効率的に精子を採取するための器具も、興興の体に合わせて改良を重ねた。排卵日直前に採取した精子を雌の体内に入れられるようになり、受精率が高まった。
それでも、妊娠の日は遠かった。人工授精をサポートしてきた神戸大農学部の楠比呂志准教授(46)は「一昨年まで妊娠する能力に疑問も感じていた」と明かす。
絶妙のタイミングで授精できた昨年、「これで妊娠しなかったら中国に返そう」と話していたが、見事に妊娠。死産だったが希望をつないだ。浜さんは「死産には落ち込んだが、自分たちの人工授精がうまくいったことが分かった」と話す。
予定日を今月二十一日ごろと予想していた浜さん。「予定日を過ぎてからは、昨年同様死産かもしれないと不安になったが、破水して生まれると思った」と振り返る。
旦旦と興興(初代)が来園したのは二〇〇〇年。二十年来の誘致活動の成果でもあった。折衝のため日中を行き来した元園長の権藤眞禎(まさよし)さん(71)は、パンダ誕生の報に「跳び上がるほどうれしい」と喜びを表した。
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